体のこと、あれこれ

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  • 2021年2月24日

    今回は特定の健康法というよりも、「健康に生きる」ことに関する一つの概念をご紹介したい。

    近年、「バイオハック」なる概念が流行っているという。

    その概念を正しく理解するために少々遠回りだが、言葉の意味を見ていきたい。

    「バイオ」とは「生物」とか「生命」を意味する。

    一方、「ハック」とは「ハッキング」のことで、ウィキペディアのよると「コンピュータのすみずみまでを熟知した者が行うハードやソフトに関するエンジニアリングを広範に意味する言葉」とのこと。

    ところが一般的にはコンピュータに関する高い知識と技能を悪用して他人のPCに入り込み、様々な障害を起こさせるような行為を指すように広まってしまった。

    なので、真面目にハッキングを行う人たちは、悪意を持って他人のPCに入り込むような行為を「クラッキング」といい、そのような犯罪行為を行う人たちを区別するために「クラッカー」と呼んでいるそうだ。

    しかし、それはあまり浸透しておらず、ハッキングと聞くと犯罪行為と直結し、良いイメージはない。
    話がそれたが、英語でhackは、動詞では「叩き切る」「切り刻む」「耕す」などの意味があるという。

    それが名詞では「完璧ではないけど、アイデアなどを駆使してかろうじてうまく行っていること。それでいて、それなりに効果的な解決方法」という意味合いで使われるそうだ。

    なので、「バイオハック」の意味として最も近いのは「生命に対して様々なアイデア駆使して働きかけ、健康のための効果的な方法」ということにでもなろうか。

    これらは単に「健康を維持するためにバランスの良い食事を摂取しましょう」などという単純なことではないようだ。

    通常、健康診断では「病気ではないことの確認」はされるが、「自分の体のパフォーマンスを最大限に引き出すために必要なこと」は指示されない。

    実際に「バイオハック」という言葉が使われているサイト等を覗くと、単に「健康を維持する」だけではなく、「超健康」とでも言うような取り組みが行われている。

    そこでは高い集中力を養い、エネルギッシュに活動できる体を作るために、「個体差に合わせた健康法」が模索されている。

    健康に関する認識は医学や栄養学、スポーツ科学等の発展に伴い、徐々に変化していく。

    この間まで「常識」だったはずの「油の摂り過ぎはよくない」や、「コレステロールの摂り過ぎはよくないので卵は1日1個まで」とされていたものは、今や「油やコレステロールの摂り過ぎと肥満との関係は全くない」、「良質の油であれば積極的に摂ったほうが良い」、「コレステロールも制限する必要はない」と変化してきた。

    バイオハックのススメでは「常に正しい情報のインプットを行うこと」が推奨されている。

    そして、肝心なのは「個体差」があることの認識を持つことだろう。

    PCの前でより集中力を要する仕事についている人と、肉体労働に従事する人とは、自ずとカラダが求める栄養素が異なる。

    風邪をひきやすい人にはビタミンCが必要かもしれないが、そうでない人にはビタミンの過剰摂取はかえって害を与えることにもなる。

    個々人の体質や仕事内容、生活環境、ストレス要因などを考えると、それぞれの個体にとって必要で効率的な栄養素、運動負荷、生活パターンは異なることを前提に、何が自分の体にとって必要なものなのかを自分自身の体を使って検証していく姿勢が「バイオハック」には必要なようである。

    CATALYSTというサイトを運営されている方は「ホルモン」と「腸内環境」が最も重要と考え、「ホルモン検査」を行なったそうだ。

    健康には自信があったそうだが、いくつかのホルモンの低下と、卵、乳製品、アーモンドに対する遅発型アレルギ-が見つかったという。

    さらに、カドミウムや水銀も検出され、病気ではなかったかもしれないが、「健康体」と呼べる状態でもないことが判明したという。

    そこで、まずはアレルギー性物質の排除からはじめ、一般的に推奨されていた食べ物や好物をやめ、不足していることがわかったミネラルとビタミンを多く取ることにしたとのこと。

    サプリメントは以前からとっていたそうなのだが、一般的に良いとされていたものだけを飲んでいただけだったそうだ。

    自分の体が何を必要としているのかが分かったという。

    結果は顕著に現れたそうで、以前行った厳しい食事制限と週3回のハードな筋トレで落としたときの体重よりもスルッと落ちていったそうだ。

    酒を飲んでもむくまなくなり、肌荒れも改善され、吹き出物もできなくなったという。

    わずか1ヶ月も立たない間に起きた変化とのこと。

    自らの体について、詳細に知るためには一般的な健康診断では十分ではなく、上述のような「ホルモン検査」等が必要となってくるだろう(ただでさえ日本で行われる健康診断は欧米と比べて検査項目が少ないと言われている)。

    ただし、一口に「ホルモン」といっても多くの種類があり、多くは体調不良であることの前提で、病院で行われる検査のようであり、上記のサイト運営者がどこでどれほどの内容で検査を受けたのかは不明である。

    ちょっと検索しただけでは、個別のホルモンの簡易検査キットの販売はあるようだけれども、健康人が、ある程度まとまったホルモン検査を受けられるところという情報は見つからなかった。

    なお、ミネラル検査はやってくれるところが結構あるようだ。
    もうひとつの指標としては心拍変動を測るというものがある。

    人の心臓は常に一定のスピードで打っているわけではない。

    ちょっとした気持ちの変動でも早くなったり、遅くなったりする。

    それは正常な働きではあるが、そのばらつきにムラがあるとストレスが蓄積されることにもなるという。

    心拍変動が安定している人は睡眠の質や運動後の回復力が高く、うつ病になりにくいのだそうだ。

    その心拍変動を視覚的に捉えられるものがあるという。

    「HeartCloud」というものである。

    コードの片方のクリップを耳たぶにつけ、もう片方をiPhoneのイヤホンジャックに差し込むと、アプリ上に心拍変動が表示されるという。

    その心拍変動は三つのエリアに表示され、緑のエリアにあるときは変動が安定して良い状態、赤いエリアにあるときは変動にムラがあり、呼吸が浅く何かしらのストレスを感じている証拠だという。

    試しに意識的に呼吸を浅くしてみると、心拍変動は赤いエリアに表示されるそうだ。

    これによって心拍変動を安定させるように呼吸のトレーニングを行うことで、うつの改善にも繋がったという。

    また、イギリスのサッカーの強豪クラブ・リバプールでは選手のトレーニングに取り入れられているとのこと。
    食べ物や体に身に付けるもの(磁気ネックレスなど)で、自分の体にあっているのかどうかの判定には「Oリングテスト」という方法もある。

    これは個人的な推薦であるが、少なくとも金属類の判定には経験上有効であると思われる。

    片方の手に判定したい物を載せ、もう片方の親指と人差し指でOの字に輪っかを作る。

    その親指と人差し指を引き剥がすように誰かに引っ張ってもらう。

    判定したいものがその被検者に合うものなのであれば親指と人差し指には力が入り引き離されることはないが、合わないものであれば指に力が入らず容易に引き離されるのである。

    判定したい物を持った時と、持たない時とを比べてみるのが必要である。

    もちろん、検者と被検者に圧倒的な力の差があれば、仮にその物が被検者に合うものであっても親指と人差し指は開いてしまうので、検者にも力のコントロールは必要であるが、被検者には物を持った時と持たなかった時と力の入り具合が異なることがわかるだろう。

    当院では金と銀との鍼を患者によって使い分けているが、その「合う・合わない」を脈の状態の変化を診て判定している。

    「Oリングテスト」は金属だけでなく、錠剤など口にするものでも同様の反応が現れるとされている。

    ぜひご自分の体で試してみて欲しい。
    前述のCATALYSTというサイトでは「バイオハック」のススメとして外国で食されている「スーパーフード」と呼ばれているものや、伝統医学であるアーユルヴェーダ、運動の行い方、「有害金属」のデトックスの仕方、等々が紹介されている。

    もちろん、ここで紹介されているものが自分の体に合うのかどうかは、様々な検査や心拍変動、Oリングテストなどで確認して取捨選択することが大切である。

    そしてなにより、自分の体の声に耳を澄ますことも大切だと思う。

    原因のわからない気分の落ち込み、だるさなどがあれば、体としても好調ではない証拠である。

    運動強度は強すぎていないか、デトックスのやりすぎではないか、取り込む栄養素は自分に合っているか。

    一つ一つ、実験的に自分にとって必要なものを見つけていくのである。
    自分の体験を大切にしたほうがいいという話をもう一つ。

    知人の母親が民謡を趣味にしていたのだが、声があまり出ないという悩みがあった。

    それで鍼でどうにかならないものかと一度受診されたことがあった。

    治療後胸郭が緩んだことで声が出しやすくなったとご本人もその場で自覚されていた。

    しかし、そのことを民謡仲間に話したところ、「『刺さない鍼』などでそんなことができるはずがない」と一蹴されたといい、その後、彼女は来院することはなかった。

    自分の体で体験したことを信用せずに、「常識とされているもの」に振り回されて、結局は改善の機会を逃してしまったのである。

    何かを体験したのなら、ぜひ自分の体の声を聞いてみてほしいと思う。

  • 2021年2月8日

    突然だが、あなたが見る夢に色はついているだろうか?

    その夢の映像は鮮明だろうか?

    人によってあまり夢を見ない人もいるが、なかには鮮明な夢を見る人もいる。

    考えてみると、なぜ寝ている時は目を閉じているのに、色つきの映像を見ることができるのだろうか?

    当然のことながら、夢は脳に記憶されている色や物を元に作られているので、実際に何も見てはいなくとも、映像を認識できるのである。

    もし、あなたの周りに緑内障などで高度に視力を失いながらも、「人が見える」「モノが見える」という方がおられたならば、その方は精神の破綻を来たしたのではなく、シャルル・ボネ症候群かも知れない。

    ある眼科のDrによると、「シャルル・ボネ症候群とは、加齢黄斑変性症や緑内障などの病気で視力が著しく低下した高齢者に見られる幻視」であるとのこと。

    この幻視は無意味な映像が脈絡なく、しかも現実感や迫真感を持って見えるという。

    見えるのは人や動植物、幾何学模様などが典型例とされているが、建物や景色、文字、あるいは動物のような人間や、人間のような非人間像が出ることも少なくないそうだ。

    単に、記憶にあるものだけでなく、新たな創造物が見えるというのは、人間の想像力の豊かさの表れかも知れないとのこと。

    下記のサイトにはある患者さんに見える幾何学模様を、専門家に描いてもらったという図が掲載されている。

    幻視とはいえ、非常に精緻で鮮明な模様になっていることに大変驚かされる。

    見えないはずのものが見える! 幻視の世界を絵で再現すると…

    見え方としては、幻視で見える模様で現実のモノが隠されていることもあれば、幻視で見える像の後ろに歪んだ現実のモノが見えることもある。

    数秒で消えることもあれば、一日中続くこともある。

    そして、一人で何種類も見える例もあれば、同じようなものがくり返し出る人もいるという。

    なぜ、このような現象が起きるのだろうか。

    人間が「見る」という行為は、「目で見る」ことと、「脳で見る」ことの二通りで行っている。

    「脳で見る」というのは記憶にあるものを呼び起こし、それを映像として認識することである。

    夢がまさにこれに当たるが、シャルル・ボネ症候群は覚醒時にそれが起きている状態ではないかと考えられている。

    両目視力が0.1以下という著しい視力低下をきたした高齢者のうち、1割ぐらいの人が経験しているという。

    手足を切断した人が、あるはずのない手足に痛みを感じる幻肢痛という現象が起きることがあるが、目からの情報が激減してしまうと、同じようにそれを補おうと「脳で見る」機能が強まるのではないかと考えられている。

    根本的な治療はないが、多くは2~3ヶ月程度、長くても1~2年程度で自然に消えていくとのこと。

    しかし、問題は患者さんが誰にも相談できずに、一人で悩むことだという。

    この現象には知的な問題は何もなく、本人も幻視であることを十分自覚しているのだが、周りから「精神異常ではないか」などと思われることを恐れてしまい、人に言い出せないでいるケースが多いというのである。

    視力の著しい低下をきたした高齢者の1割に起きるとされているが、そのうちの1%ぐらいしか誰かに症状を訴えていないという。

    この幻視が決して精神疾患ではないことを本人や家族に伝え、安心してもらうことが最大の治療であるというのである。

    井上眼科病院にはこのような幻視が見える患者さんたちの患者会・「ボネの会」があるそうだが、その会の発起人の一人の方の話。

    「家の風呂に入ると、決まってむこうに2~3人の人が入っているのが見える」という。

    担当医が「一緒に入っているのは男性ですか、女性ですか?」と尋ねると、「それが残念ながら、全員男性なんだ」と笑って答えたとのこと。

    どうやら幻視の内容まではコントロールできないようだ。

    その患者さんは精神科医だそうで、担当医と幻視の内容や成り立ちについて、診察室で会話が弾むそうな。

    ちなみに、シャルル・ボネとは18世紀のスイスの博物学者で、昆虫やヒドラの研究で、先駆的な実験考察を行い、数々の著書も出版した人物とのこと。

    しかし、その後視力を失い、哲学の分野に転じたという。

    そして、彼自身が幻視を見たことで、1760年に視力障害者に特有な幻視の症状があることを記述したのである。

    結構古くから知られた症状のようである。

    見えないはずのものが見えるという体験は確かに混乱を招くことではあるだろう。

    だが、その幻視が精神の異常からくるものではないことを知り、かつストレスを与えるものでないのならば、どのようなものであるのか、一度体験したいような気持もある。

    あなたは幻視の体験をお持ちだろうか。

     

     

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