体のこと、あれこれ

マルファン症候群

2018年6月4日

人間の体は様々な細胞が集まって、大きく分類して4種類の組織を作っている。
4種類の組織とは上皮組織、結合組織、筋組織、神経組織である。
その4種類のうち、いくつかの組織が組み合わさることで腸や心臓、脳、皮膚など様々な臓器が形成されている。
マルファン症候群とは遺伝子異常によって4種類の組織の中の結合組織に障害が生じる疾患である。
1986年にフランスの小児科医アントワーヌ・マルファンによって報告された。
そもそも、結合組織とはなんなのだろうか。
一言で言うと他の組織同士をつなげ、支える組織である。
コラーゲンや靭帯・腱、脂肪、そして血液や骨などもこの結合組織に分類される。
結合組織は全身いたるところに存在しているし、疾患の重症度も様々なので、症状には非常に個人差がある。
だが主に骨格系、眼、心臓血管系に病変が認められることが多く、特徴ある体型を示すようになる。
原因は「フィブリリン1遺伝子」という遺伝子の異常によって、結合組織を作るフィブリリンという物質に異常が起こるためである。
それによって、正常なタンパク質が作れなくなり、結合組織が弱くなるのである。
結合組織が弱くなるということは、上記の組織同士のつながりが脆弱となるということである。
そのために以下のような症状が現れる。
○背が高く、痩せて、長い手足と指をもつ
○側湾や亀背など背骨の異常
○鳩胸、漏斗胸
○関節の過可動性(関節がやわらかすぎる)
○大動脈弁・僧帽弁の閉鎖不全など
○大動脈解離(血管の内膜と外膜が分離する)
○水晶体亜脱臼(眼球が動きやすい)、偏位、近視
等々
上記の症状によって、二次的な問題も生じる。
弁が上手く閉じないと血液の逆流を起こし心不全に繋がりかねないし、心臓血管系の問題が最も生命に関わる大きな問題となる。
患者の65~75%に水晶体亜脱臼があるため、ボクシングやサッカー、高飛び込みなどの体に大きな衝撃を受けるスポーツや、重量挙げなどの大きなパワーを要するスポーツは回避しなければならない。
しかし、ゴルフなどの最小限の身体的な動きで済む、あるいは非競争である運動などは有益とされている。
胸部は外形だけでなく、肺を覆う膜にも穴が空きやすくなるため、気胸を起こすこともある。
眼球は脱臼のおそれだけでなく、網膜剥離による視力低下や失明を起こすこともある。
外形として胸部や四肢のみならず、顔貌・頭部にも顎関節症や長頭、前額部突出、垂れ目、小さい下顎、大きな耳介、歯並びの乱れ等症状があらわれる。
その他にも二次的合併症として細菌性心内膜炎、脳卒中、骨形成異常からの呼吸困難、腰痛、頭痛、鬱、不安神経症等も懸念される。
以上のような症状がすべての人に現れるわけではなく、目だけに症状が現れる人もいる。
高身長を生かしてスポーツ選手になる人もいるそうなので、重症度には本当に大きな隔たりがあるようだ。
典型的なケースでは以前テレビでも取り上げられていたリュドミラさんのようなケースがある。
下記のサイトに概要が掲載されている。
彼女は病気への理解を求めるためにテレビに出演したと思うので、写真を掲載しているサイトもご紹介したい。
http://tv-blog.blog.so-net.ne.jp/2013-10-23
http://commonpost.info/?p=50194
結合組織自体が全身に及ぶため、上記以外にも書ききれない症状があり、実に多くの症状がみられる。
日本では約20000人もの患者がいると推定されている。
75%は親からの遺伝だが、25%は突然変異によるものらしいので、誰にでも起こりうる病気である。
最も危険な症状は心臓血管壁の結合組織の弱体化なので、診断がつくか、あるいは疑われた時点で心臓の専門医を受診することが勧められている。
出生時にマルファン症候群が発見されることもあるそうだが、青年期までに診断されることの方が多いという。
つまり、外形だけでは幼少時ははっきりわからないということだろう。
症状が多岐にわたるマルファン症候群は、原因が遺伝子疾患なので根本的な治療はない。
しかし、その予後は、以前は平均寿命が30歳前後とされていたのが、各々の症状に対する適切な治療や、合併症に対する予防がしっかりなされるようになったことで、現在では61歳以上と以前のほぼ2倍にもなったとのこと。
また、以前はマルファン症候群の女性は大動脈解離などの危険性のため、妊娠しないように勧められていたそうだが、現在では医師の診断と管理のもとで可能になってきているという。
ただし、新生児期に診断がつくようなケースでは多臓器にわたる重症であることが多く、急速に進行することも多いため、予後はあまりよくない。
マルファン症候群が社会やスポーツに与えた影響として、その長い指を持つことからピアノやバイオリンを弾く際に、一般人では不可能な演奏ができるようになることで、奏者として有名になった人もいるとのこと。
自分はよく知らないが、ニコロ・パガニーニやセルゲイ・ラフマニノフなどが本疾患だったという。
ラフマニノフとは自分でも名前くらいは知っているあのラフマニノフなのだろうか。
また、高身長が高評価され、バスケットボールやバレーボールなどのスポーツ選手になる例も多いという。
しかし、一方で試合中に突然死を起こす例も多いそうで、やはり厳密なリスク管理が必要なようである。
ただ、「命あっての物種」という言葉もあるのだが、アイデンティティーをどこに見出すのかというのは非常に難しい問題である。
命の危険があってもスポーツを続けるという選択することに関しては自分には何とも言いようがない。
確かなことは、特にご両親にとっては「可能な限り命を長らえてほしい」との思いが本当のところなのだろうということである。

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