体のこと、あれこれ

エーラス・ダンロス症候群

2019年9月25日

「コラーゲン」と聞くと多くの人は美容関連のことを思い浮かべるかもしれない。
しかし、自分のような美容とは全く縁のない者にもこの「コラーゲン」は非常に重要な役割を持っている。
「コラーゲン」とは主に脊椎動物の真皮、靭帯、腱、骨、軟骨などを構成するタンパク質の一つである。
私たちの体は細胞と細胞のつながりで構成されているが、その細胞同士を接着させる物質の一つでもある。
だから、コラーゲンが充実していると細胞間のつながりがしっかりし、ひいては皮膚に張りが出るのだろう。
ヒトでは全タンパク質のほぼ30%を占め、2007年時点で28種のコラーゲンが確認されている。
そんなコラーゲンを生み出すために、私たちの体は多くの酵素を働かせなくてはならない。
しかし、その酵素が遺伝子異常によってうまく機能しなくなるとコラーゲンをつくり出せず、体の各組織がもろくなり、本疾患を発症してしまうのである。
本疾患にはいくつかのタイプがあり、タイプ別に異常を起こす遺伝子が異なっている。
ちなみに、本疾患名は1901年にエーラス先生が、1908年にダンロス先生が報告したことに由来している。
1998年に6つの大病型(古典型、関節型、血管型、後側湾型、多発関節弛緩型、皮膚弛緩型)と、その他の型に整理されたが、その後も古庄型など新たな病型が次々と見つかっているという。
発症頻度はサイトによって極端に差があり、あるサイトではすべての病型を合わせると1/5000人の割合でいると考えられるという。
別のサイトでは数万から数百万に1人とも書かれている。
診断がついていない潜在的な人数を勘案すると1/5000人という数字になるのかもしれない。
この人数は非常に多い割合と思われるが、単純計算でもこの盛岡にも数十名の本疾患患者がいるということになる。
もしかしたら、極端にからだの柔らかい人というのも本疾患の軽症者なのだろうか?
症  状
古典型
皮膚が伸びやすい、皮膚が容易に裂ける・内出血しやすい、関節が柔らかく、脱臼しやすい。
関節型
関節の脱臼しやすさが中心。慢性で治り難い痛みがある。便秘や下痢を繰り返す。動悸・立ちくらみなどの自律神経異常が見られることもある。
血管型
動脈解離・瘤・破裂などの動脈病変、腸管や子宮などの内臓破裂、気胸などの重篤な合併症を生じる。また、内出血しやすい、皮下静脈が透けて見えるほどの皮膚の薄さという特徴もある。
古庄型
出生直後の関節拘縮、特徴ある顔貌、進行していく皮膚の伸びやすさ・もろさ、関節の柔らかさ・脱臼しやすさ、足・脊椎の変形、皮下血種など。
治 療 法
根本的な治療法はなく、いずれも対症療法的な内容に限られてしまうが、皮膚・関節のトラブルには激しい運動は控え、サポーターや補装具などの装着で予防を図ることが大切。
血管型は定期的な検査が必要で、トラブルが起きた時はなるべく保存的な治療が望まれるが、重篤な場合には手術も行われる。
予 後
諸症状の進行によりQOLの低下が予測されるが、特に血管型では重篤な合併症を発症することが多く、欧米の大規模調査では20歳までに25%が、40歳までに80%が重大な合併症を生じ、死亡年齢の中央値は48歳だったそうだ。
症状や重症度に個人差が大きいことは確かなようである。
イギリス・マンチャスターに住むエミリー・ジェームズさん(現在20歳前後)は関節の多くに異常があり、日に何度も勝手に外れてしまうという。
両親と三人の兄弟のうち、父親以外全員がこのエーラス・ダンロス症候群に罹っており、中でも最も重篤なのがエミリーさんである。
著しい脱臼は全身に及び、両腕、両足は添え木で支え、スリングで吊り下げておかなくてはならないとか。
さらに顕著なのは顎で、余りにもすぐに外れてしまうために上あごと下あごを医療用の糸でつなぎ合わせているというからその脆弱性が分かる。
そのため口は開けず、栄養は胃ろうを作り直接取り入れているとのこと。
エミリーさんについては写真や動画などもアップされており、それを見ると気管切開もしているようだ。
http://tocana.jp/2015/07/post_6742_entry.html
彼女は11歳に診断を受け、それ以後多くの時間を病院で過ごし、中学校にも通えていない。
そんなジェームズさん一家にとって、唯一の望みはアメリカにいる専門医に診てもらうことのようだが、30分の相談だけでも4万円弱もかかる高額の費用にそれは実現できていない。
そのため彼らはクラウドファンディングにて募金を集めている。
彼らは病気への理解を広げるために写真を公開しているので、本稿でも紹介することとした。
本疾患は遺伝子異常により起こるものではあるが、遺伝子の突然変異があれば誰もが罹りうる疾患でもある。
すべての病気について言えることであるが、経済能力の多寡によって受けることのできる医療レベルが変わる世界はいつの日か変わってほしいと切に思う。
「コラーゲン」は美容にとってのみ必要なものではない。
私たちに「コラーゲン」の大切さを教えてくれる疾患である。

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