体のこと、あれこれ

リポジストロフィー

2020年2月6日

本疾患は単純に言ってしまうと、糖や脂質の代謝異常である。
大きな特徴としては、外見上の脂肪の分布異常が起きること。
つまり、体のあちこちの脂肪のつき方に偏りがみられるようになるのである。
具体的には、リポジストロフィーにはいくつかのタイプがあり、タイプによって脂肪の偏り方も変わってくるようだが、基本的には顔や手足の脂肪が削ぎ落ちる一方で、お腹周りに内臓脂肪がつくというタイプが最も多いらしい。
顔はげっそり、手足は今にも折れそうなのに、腹回りだけがしっかり肉がつくといった体形になる。
そのため、モデルとかは顔つきが変わるなど仕事に差し支えが出るとか、女性は猛暑でも長袖、長いパンツでやせ細った手足を隠すなど外見上の変化が非常に問題となるようである。
タイプ別リポジストロフィー
①先天性全身型リポジストロフィー
遺伝子異常により発症。
出生時から全身の脂肪が欠損しているため、筋肉が明瞭となる。
脂質異常とともに、高インスリン血漿、臓器肥大、糖尿病など合併するという。
②後天性全身型リポジストロフィー
女児に多く、皮膚筋炎や麻疹、百日咳などのウイルス性疾患や、甲状腺疾患、妊娠を契機に続発して生じることがあるという。
多くは数か月から数年をかけて徐々に脂肪が消失するが、ときに数週間で消失するという急激な変化を起こすこともあるとのこと。
食欲亢進(何をどれだけ食べても痩せていく)や糖尿病を合併する。
他にも全身型の症状としては皮膚の突っ張り、色素沈着、多毛症などがみられる。
機能的な問題としてはリンパ節腫大、臓器の腫大、先端巨大症を思わせるような筋肉の肥大と大きな手・足などが特徴として挙げられている。
知能障害も半数に認められるという。
③後天性部分型リポジストロフィー
本タイプが最も多く、特に女性に多い。
多様な外的刺激、あるいは脂肪織炎の後に局所的に脂肪組織の変化が生じる。
原因は不明だが、インスリン、ステロイド、鉄剤、ワクチンなどの注射部位に脂肪萎縮をきたすこともあるとのこと。
近年では抗HIV薬によって生じる脂肪萎縮・増加のHIV関連のリポジストロフィーも増えているという。
④遠心性リポジストロフィー
小児の鼠径部あるいは腋窩(わきの下)で片側だけにみられる限局性の脂肪萎縮症である。
これも原因不明だが、家族性にみられることもあるため、遺伝子の関与も考えられている。
本疾患の場合はほとんどがアジア人の女児にみられる。
痛みのない紅斑から境界の明白な陥凹となり、その陥凹は遠心性に、つまり抹消部に向けて拡大していく。
陥凹はすなわち脂肪の欠損であり、そのため徐々に下の血管が透けて見えるようになる。
陥凹の拡大は7年以内に停止するそうで、症例の2/3で症状の治癒、緩解がみられるというので、外見上の特異性のわりに予後としては比較的良いようである。
上記の合併症で挙げられる糖尿病は「インスリン抵抗性糖尿病」と呼ばれるものである。
これはインスリンが効きにくい糖尿病であり、その治療には多量のインスリンが必要になるという。
全体的な予後としては代謝障害や臓器障害の程度に左右される。
全身型の場合は肝不全、腎不全、再発する膵炎などにより、早期に死亡する症例もあるとのこと。
なので、単に「脂肪のつき方に異常が生じる」という見た目の問題だけでなく、決して油断の許されない疾患である。
治療法としては、高脂血症には脂肪制限食が一般的に行われるとのこと。
また、糖尿病に関しては身体がインスリンに対して抵抗性を持つため、多量のインスリンが投与されるという。
対症療法的にはいろいろあるようだが、こんちはなかなか難しいようである。
東洋医学的には肌肉の変動が主症状でもあり、脾病として捉えることが肝要かと思われる。
それにしても後天性で発症する起点が、ウイルス性疾患や甲状腺疾患、妊娠、多様な外的刺激、脂肪織炎、インスリン・ステロイド等の注射など、どれもが身近に経験しうることからという点が何とも言えない。
ある時、たまたま経験したことをきっかけに、体形が変わっていくというのはなかなか恐ろしいものである。
ましてや単に体形が変わるだけでなく、場合によっては臓器不全を起こし命の危険すら生じてしまうのだ。
自分の身体に起きる変化に戸惑うばかりでなく、覚悟が迫られる疾患であるとも言える。
重篤な病を経験せずに生涯を全うすることができるのは希なことでもあり、幸せなことであることを改めて認識させられる。

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