体のこと、あれこれ

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  • 2018年5月17日

    当院で行っている徒手療法で、私が「リリース」と呼んでいるものがある。
    キャリアを重ねるごとにその施術内容はどんどん変化していき、気功的な要素も加えているので、本来理学療法の世界で行われている「リリース」とは似て非なるものになっている。
    もちろん、より高い効果、より深い効果、より早い効果を目指しての変化させてきているのだが、人の身体を深く見られるようになってくると、相対的に施術時間も伸びてくるため、結局は短くとも20分程度の施術時間を要している。
    個人的にはこれ独自でもひとつの治療法として確立させられるなあと感じているが、自分が提供する施術は「全身治療」が信条なので、あくまでも当院の治療の大きな柱の一つという位置づけで行っている。
    さて、そんな「リリース」だが、近年注目して行っているポイントの一つに「指」がある。
    これは手足両方ともだが、そもそも指はここを起源として経絡が始まる処でもあり、ここへ経絡が収束していき、次の経絡へとつながる処でもある。
    なので、鍼灸治療の観点からも非常に重要な治療ポイントの一つとなっている。
    実際、指周辺の非常にわずかな滞りを解消するだけで脚全体が緩むし、指から離れた身体のほかの部位にも変化が生じさせることもできる。
    もちろん、リリースの治療ポイントとしては指だけではなく他にもあるが、指を緩めるだけでも一定の効果がある。
    そして、それを患者さんご本人が普段の日常生活の中で可能にするのが「足指ストレッチ」である。
    ぜひ覚えて、テレビを見ながら、職場の休憩時間に、家事の合間に行ってみてほしい。
    紹介する人によってやり方は微妙に異なるが動かせる方向には自ずと決まっているので、そう大きな違いはない。
    横開き、回旋、長軸方向への伸長の3方向へのストレッチを基本に覚えてほしい。
    1.横 開 き
    まず、指まわりの硬さ具合によって可能な人は足の指と手の指を交互に組み合わせてみる。
    普段あまり開くことのない足の指の間に手の指が入るので、それだけで足の指が横方向に広がる。
    そうしてグッと指を開くだけでも指まわりが解放されていくのがわかる。
    もし痛みを感じるようならば、痛気持ちいい程度まで指の開き具合を調節してほしい。
    余裕のある人はその状態でぐるぐると回し、より指まわりのほぐしを進めてみよう。
    指まわりが硬く、手の指を組ませることができない人は布などを手等な厚みに調節し、足の指の間に挟み込んで指を開かせ、手で足の指を掴んでぐるぐる回すとか、底背屈をくり返すことで指まわりをほぐしていく。
    痛みの度合いが「痛気持ちいい」程度から始め、じっくりほぐしていく。
    ペディキュアを塗る際に指を開いた状態に保持する為の道具でセパレーターというモノがあるそうだが、そういった小道具の利用を推奨している人もいるようである。
    2.回 旋
    母趾から小趾までのそれぞれの指の爪脇をつまみ、順番に指を回旋させるようにひねる。
    爪脇はそれぞれの指に配当されている経絡の起源である井穴(せいけつ)の場所である。
    この場所をつまんで痛みがあるようならば、そこから始まる経絡に何らかの問題がある証拠でもある。
    痛くなくなるまで地道に何日でも続けて行ってみてほしい。
    むかし、「爪もみ療法」というものが流行ったが、それはいうなれば井穴をほぐすものである。
    井穴をほぐす「爪もみ」を意識しながら足趾の回旋運動を行ってみるといいだろう。
    3.長軸方向への伸長
    これはただ指先の方向へ引っ張るだけである。
    通常の動きの中ではありえない方向へのストレッチだが、関節を取り巻く軟部組織を緩めるのに最適なストレッチである。
    硬くなっていれば硬くなっているほど痛みを伴う運動なので、最初から無理に痛みを我慢しながらほぐそうとせず、数日かけて緩めていくぐらいの気持ちで行ってほしい。
    トータルで5分も行えば十分。
    時間を作れる場合は一日の中で数回行ってみると、効果は倍増である。
    指まわりが緩むと指先から足全体が温かくなっていく。
    循環が良くなっていくのである。
    そしてむくみの改善や足の形状が整うことで骨格の矯正にも役立つ。
    循環が良くなれば足の疲労感の改善にもつながる。
    良いことは多い。
    そして、大切なのはよく患者さんにお話ししているが、「ほぐしてから鍛える」ことである。
    ほぐれて循環が良くなり、骨格が矯正されたとしても、それを保持する筋力もなければいけない。
    よく「地面をつかむように歩きなさい」と言われるが、これは足指の筋力が地面に伝わるような歩き方をすることである。
    現代では足の指が浮き気味になったり、ハイヒールで指がすぼめられ、指の力が地面に伝わらず、踵で歩くことが多くなっているという。
    これが指の硬さを助長させる元となっている。
    なので、足指の筋力トレーニングも同時に行うとよい。
    テレビでもご覧になられた方もいると思うが、床にタオルを敷き、その上に足を置いて、指の力だけで手繰り寄せることを繰り返すと、まさに「地面をつかむ」ような指の使い方を覚え、筋力的にもアップさせることができる。
    また、足の指を使ってじゃんけんの動作を行うことも可動性を高めるとともに筋力アップにつながる。
    ほぐしの効果はすぐに実感できると思うが、筋力アップは時間がかかる。
    早い効果を焦らず、じっくり行ってみてほしい。
    硬ければ硬い人ほど、効果は実感しにくいかもしれないが、毎日繰り返し行うことで治療院での施術と同等、あるいはそれ以上の効果をもたらすこともあるだろう。
    ぜひ試してみてほしい。
    足を柔らかくしておくことは、脚を柔らかくしておくこと。
    身体を軽くし、気の流れを促し、ケガの防止にも役立つ。
  • 2018年5月2日

    あなたは「糖尿病」ではなく、「糖原病」という病気を知っているだろうか?
    糖原とはグリコーゲンのことで、私たちの体の中でエネルギーや、ホルモンを作り出す際に使われる。
    そのグリコーゲンの分解がうまくいかず、肝臓や筋肉などにグリコーゲンが溜まり続ける病気が糖原病である。
    グリコーゲンの分解にはいくつかの酵素が必要なのだが、どの酵素が先天的に欠損しているかで病型が七つに分類される。
    そのうちのⅡ型に分類されるのがポンペ病である。
    糖原病は肝臓か筋肉が主に侵さるため、大きく肝型、筋型に分けられる。
    肝型では低血糖、肝機能障害、成人期に肝硬変、肝腫瘍を呈するものもある。
    筋型では急性症状として横紋筋融解症、ミオグロビン尿症、腎不全、筋力低下などをきたす。
    (横紋筋融解症は筋肉が溶けて筋肉内の成分が血中に流出する症状で、腎不全のもととなる。ミオグロビン尿症も筋肉が溶けることで筋組織内のミオグロビンが流出することで尿中に出る症状)
    肝型、筋型のどちらか、あるいはその両方が合わさった形で発症する。
    遺伝子疾患である。
    一部のタイプには合併症として知的障害、てんかん、小奇形、黄疸、肝腫大、不整脈、突然死などがある。
    ポンペ病は1932年にオランダの病理学者ポンペ氏によって報告されたことでこの名がついた。
    「α1,4グリコシダーゼ」という酵素の欠損によって発症する。
    発症年齢は幼児期から中年までと大きな幅があり、発症時期によりさらに乳児型、小児型、成人型と分類される。
    このうち乳児型が最も重症度が高く、著明な心肥大、肝腫大、筋力低下、筋緊張低下を特徴する。
    小児型は発症が乳児期以降で、進行は緩徐、病変は骨格筋に限られるという。
    成人型も緩徐進行性の筋疾患となり、初発症状としては筋力低下、歩行障害として現れる。
    有病率は4万人に1人とされ、日本では300~500人程度と推定されているが、これは一部に過ぎないとみられており、医学的スクリーニングを行うことで実数は上がるとだろうと予想されている。
    筋力低下を伴う症状があるため、筋ジストロフィーなどの疾患との鑑別が必要になる。
    治療としては、従来はリハビリや人工呼吸器の装着などの対症療法しかなく、特に乳児型の場合は9歳ごろまでの寿命とされていた時期もあったようだ。
    しかし、現在は「マイオザイム」という特効薬の開発により欠損していた酵素の補充療法が確立され、近年最も劇的な治療上の進歩を遂げた疾患の一つとされるほどになった。
    マイオザイムは2003年にアメリカで承認され、日本では2007年に承認を受けている。
    マイオザイム開発にはアメリカのポンぺ病患者の父親が奔走しており、その物語が2010年に「小さな命が呼ぶとき」として映画化されている。
    今なら以下のアドレスで視聴できるようなので、興味のある方は是非ご覧いただきたい。
    http://video.fc2.com/content/201302176yaK6EVZ
    オレゴン州に住むジョン・クラウニーは妻と三人の子供たちと暮らしていたが、二番目の長女メーガンと、三番目の次男パトリックがポンぺ病に侵されていた。
    寿命が9歳と言われる中、8歳のメーガンの体調が悪化する。
    もう後がないことと同時に、生きることを諦めていないメーガンの強さを思い知った時、ジョンはポンぺ病の第一人者であるロバート・ストーンヒル博士に会いに行く。
    博士は偏屈者だったが、彼の研究は信頼に足るものだった。
    ジョンはこれまでのキャリアを捨て、彼にすべてをかけることを決意し、博士とともに製薬会社を設立するのである。
    製薬会社を設立したが、それで薬が完成したわけではない。
    その後も大手の製薬会社ジェンザイム社との合弁や、吸収合併された先の研究者らとなかなかうまくやっていけないストーンヒル博士との確執など、それこそドラマチックな展開となっている。
    こうしたことがあるからこそ、「事実は小説よりも奇なり」と言われるのだろう(どの程度の演出が入っているのかはわからないが)。
    映画ではジョンの二人の子供たちが臨床試験を受けられることに決まったところで終了する。
    「子供を何としても助ける」との情熱が結実したのである。
    映画ではひとまずめでたしめでたしになった。
    確かにマイオザイムの開発は不治の病と言われたポンぺ病の唯一の救いとなったことは事実であり、画期的なことだった。
    しかし、マイオザイムは高額で治療コストが高いことや、隔週で通院し、1回4時間程度の点滴静注を障害継続しなければならないなどの問題点も残していた。
    現在ジョンはAmicus社のCEOとして、次なる新薬の開発に取り組んでいるという。
    彼の情熱は留まることを知らない。
    ぜひ映画「小さな命が呼ぶとき」をご覧いただければと思う。
    それにしても、以前本稿で取り上げた「副腎白質ジストロフィー」でも医学に関しては素人だった両親が執念の末、息子の病気に効くオイルを探し出すことができた。
    https://ameblo.jp/helpjiritusinkei/entry-11363788771.html
    その話も「ロレンツォのオイル」という映画になった。
    陳腐でありきたりな表現だが、親の執念、愛情とはなんと凄まじいものだろうか。
    本当に「奇跡」というものを引き起こすことができるようだ。
    「奇跡」は滅多に起きないからこそ「奇跡」なのだが、多くの難病にその「奇跡」が起きてくれればいいのに。

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