体のこと、あれこれ

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  • 2017年12月29日

    最初にネタバレすると、今回の「発光する人間」は、半分はネットでいうところの釣り(=読み手の興味を引くためのフィクション)である。
    おそらく「特殊な能力」のコーナーに「発光する人間」という表題が出れば、多くの人は見た目で分かるくらいの光り方をしている人間を想像するだろう。
    しかし、残念なことにこの光は可視光の約1000分の1というわずかなもので、人の目には見えない。
    しかも人はだれもがその光を放っていて、特殊能力というわけでもないらしい。
    ただし、「人が輝いて見えるとき」とか「肌がきれいに見えるとき」などにこの発光現象も盛んになっている可能性があるというのである。

    もしかしたら、イキイキ、キラキラしていて、まぶしいあの人は本当に発光しているのかも(笑)。

     

     

     

    その光の正体は「バイオフォトン」と呼ばれるものである。

    自分が最初にこの光について聞いたのはもうかれこれ10数年前になるだろうか。
    そのときは、
    「子供の成長過程で骨が伸びるときに骨端部から光が発する」
    というような内容だったと記憶している。

    しかし、今回発光する人間の記事を見つけていろいろ調べてみると、生体の発光現象はあらゆるところで起きているようだ。

    ホタルや深海生物など、生物が明らかに発光している現象は「生物発光」と呼ばれる。

    それとは区別し、非常に光の強度が小さい場合や、そのとき放出される光子そのものを指す言葉として、生命を意味する「バイオ」と、光子を意味する「フォトン」を組み合わせて「バイオフォトン」という造語が作られたそうだ。
    なので、ホタルの光は「バイオフォトン」ではない。
    「生物発光」は発光のもとになる物質と酵素の間でおこる生化学反応によって生じるものだが、
    「バイオフォトン」はミトコンドリアにおける細胞呼吸で行われる酸化還元反応に付随して生じる化学発光であるとのこと。
    活性酸素などが多いに関わっているというのである。

    平たく言うと、生命活動の活発な細胞や酸化ストレスを受けている細胞などにその発光現象は著しく現れるということだ。

    1933年、ロシアの物理学者、アレキサンダー・グルヴィッツ博士は
    「すべての生物は光を放出している」
    との仮説を立てたという。
    アインシュタインのように、その時代にまだ計測できなくとも理論の組み立てによって真実を見出す天才はいるのだねえ。
    その後、1960年代になって光電子倍増管という装置の開発によって細胞が光を放出する事実が確認された。
    この発光は人に限らず、呼吸活動を行う生命すべてで見られるという。

    なので、バイオフォトンの活用は現在のところ、農業や医学、生命科学の分野で期待されている。

     

     

     

    バイオフォトンの観測には完全に光が遮られた環境と、熱のノイズを減らすために冷却された上述の光電子倍増管と、超高感度測定器が必要である。

    なので、一般の人が目にすることはほぼ不可能のようだ。
    ネット上でバイオフォトンを説明するのによく引用されているのが普段タバコを吸っている人の指先を映した画像である。
    指先が非常に輝いているのだ。
    タバコには多くの化学物質が含まれており、これらは酸素と結合しやすく、指先の細胞が酸化ストレスを受け、その際に発光現象が起きているからだという。
    タバコの害は呼吸器系等のものと思われているが、煙にさらされている皮膚の細胞も影響を受けているのである。

    よく副流煙の害で周囲にいる人への影響も取りざたされるが、吸い込まなくとも確実に細胞レベルで影響を受けていることを認識しておかなければならない(と元喫煙者である自分が偉そうに言う)。

    また、医学の分野で活用が期待されているのが、がんの発見である。
    がん細胞が活発に増殖しているときにもバイオフォトンがより強く計測されるという。
    紫外線照射などに伴う皮膚の酸化ストレスなどの健康状態の計測も可能だとされている。
    農業分野では遺伝子操作の影響や、薬剤の効果などの研究にも活用しうるそうだ。
    いずれにしろその活用に期待値は大きいようだが、まだまだ始まったばかりというところだろうか。
    最初に自分がこのバイオフォトンについて知った時、
    「これが『気』の本体なのではないだろうか」
    と直感的に考えていた。
    やはり同じように考える人はいて、経絡との関りを説明する人もいる。
    しかし、経絡のように同じ生体内での現象ならいざ知らず、中には霊的現象やオーラなどのスピリチュアル現象、聞いたことのない様々な代替療法などについてまでバイオフォトンに絡めて説明するサイトも存在する。
    まさに玉石混交の感がある。
    今の段階ではそれらのすべてを否定するつもりはないが、肯定するつもりもない。

    神の話まで出てくると「それはどうよ」と言いたくもなる。

    バイオフォトンには単に活性化している細胞や、酸化ストレスを受けている部分に多く計測されるというだけでなく、それ自体が情報伝達の役割を果たしているとの説もある。
    その実態、役割のすべてはまだまだ未知のようである。
    確かに世に不思議な現象はたくさんあり、それらには何らかの理由があることだろう。
    その時代の常識が、後の世には覆されるということもよくある話である。
    もしかしたらスピリチュアルな現象もこのバイオフォトンで説明がつく時代が来るかもしれない。

    実際に計測機器があるのであれば、きちんと科学的に実験を行い、学者の責任として玉石混交を整理してほしい。

    細胞レベルで活性化していれば、実際に輝いて見えるのかもしれないのであれば、来年は是非細胞レベルで輝いてみようか!

    とりあえず、自分の場合は運動でこのメタボ体型をどうにかせにゃあ(笑)。

     

     

     

    当HPにお立ち寄りいただいた皆さん、ご覧頂きましてありがとうございました。

    また来年もよろしくお願いいたします。
    それでは皆々様、良いお年を!
  • 2017年12月4日

    ギリシャ神話にはキマイラという、頭がライオン、胴体が山羊、しっぽが毒蛇という伝説の生物が登場するという。
    このキマイラが生物学上でいうところのキメラの語源だそうだ。
    キメラとは一つの個体の中に異なる二つの遺伝情報を持つ細胞が混じっている現象や、その個体そのものを意味する。
    以前、芸能人夫婦の間の子供の遺伝子が、父親のものと合わないという騒動があったが、あくまでも父親の子であるという母親の主張を支持しうる現象としてネット上でも注目を集めていた。
    まあ、その夫婦の真相は分からないが、医学的には本当にありうる現象のようだ。

    ヒトに起こるキメラ現象の多くは血液キメラだそうだ。

    例えば双子の胚は胎盤の中で血液供給を共有することがしばしばあるため、血液を作るもとになる血液幹細胞がもう一方の胚へ移動可能である。
    移動した血液幹細胞が他方の子の骨髄に定着した場合、持続的に血液細胞を供給することになり、自分の遺伝子と兄弟の遺伝子を持つ血液が生み出されることになる。
    一卵性双生児であればどちらも同じ遺伝子であろうが、二卵性の場合は遺伝子が異なるので、血液キメラが生じる。

    ペアの約8%にこの血液キメラは生じるという。

    結構な確率である。

    次のようなケースもある。
    もともと二卵性双生児だったが、妊娠初期の段階で一方の胚が他方の胚に吸収されてしまうケースである。
    このような現象は「パニシング・ツイン(消滅した子供)」と呼ばれる。
    本来双子で生まれてくるはずが、兄弟の遺伝子を抱えながら一人で生まれてくるのだ。
    このパニシング・ツインではさらにまれな現象を引き起こすことがあるという。
    もともと「吸収した方の胚」は両親の遺伝子を受け継いでいるのだが、

    その胚の成長に「吸収された方の胚」が大きく関わると、

    遺伝子的には「吸収された方の胚」が親のような役割を果たしてしまうこともあるのだそうだ。

    つまり、場合によっては両親の血液型からは生まれるはずのない血液型の子が生まれることもあるという。
    仮に母親の血液型がOO型、父親がAB型だとすると、生まれてくる子供は通常AO型かBO型になる。
    二卵性で身ごもった二つの胚がそれぞれAO型、BO型だった場合でみてみよう。
    仮にAO型が途中で吸収され、BO型の成長に大きく関わり遺伝子的な父親の役割を果たしてしまうと、

    吸収した方の胚はOO型とAO型の両親から生まれたような遺伝子の組み合わせになってしまい、

    血液がOO型の子供として生まれることもありうるのである。

    これは本来OO型とAB型の両親からは生まれるはずのない血液型だが、2014年にアメリカで実際に起きた事例だそうだ。

    血液キメラ以外にも吸収された胚が成長すると、一つの個体の中で別の遺伝子を持った部位を持つことになり、仮に遺伝子検査をした場合、サンプルをどこからとったかで結果が異なる可能性もある。
    当然のことながら極めてまれなケースであり、圧倒的に多くの場合の遺伝子検査は妥当なものなのだと思うが、遺伝子検査は完全100%正しいわけでもないことも知っておく必要があるだろう。
    こうしたキメラ現象はムラのある肌の色や、左右で異なる色をした目、時には性器を二つ持って生まれるなど外見的特徴を示すこともある。
    公的な報告としては100例ほどしかされていないそうだが、キメラ自体は輸血や骨髄移植、母親とその胎児間でも起こることが知られており、発生頻度は高いのではないかとも指摘されている。
    ちなみに、キメラと勘違いする現象に「モザイク」というものがある。
    キメラは他者の遺伝子が関わることで一つの個体の中に二つの異なる遺伝子の細胞が存在する現象だが、

    モザイクは自分自身の体細胞の分裂の失敗や突然変異によって自分の体の中に遺伝子の異なる部分が出来てしまう現象である。

    ん~ややこしい。

    ところで、遺伝に関してはこれまでの知見以上に複雑であることが最近の研究で明らかになってきている。
    例えば、2014年に発表されたオーストラリアのニューサウスウェールズ大学のハエの研究では、本来の父親よりも、以前に交尾をしたパートナーの影響を多く受けているという驚きの結果がでている。
    以前に身体の大きなパートナーと交尾していれば子供が大きくなる傾向があり、小さなパートナーと交尾していれば子供が小さくなる傾向があるというのである。
    これは前のパートナーの精子に含まれていた化学物質が交尾の後もずっとメスの体内に残り続けているためではないかと考えられている。
    繰り返すが、DNA的にはもちろん本来の父親のものである。
    しかし、子供は性行履歴の結果であり、父と母をプラスして2で割ったものが子供であるという理解は単純すぎるというのである。
    う~ん、なんというか複雑である。
    人間でも同じ事が言えるのだろうか。
    また、これまでY染色体は男性だけのものとされてきたが、女性でもY染色体をもつケースがあることも確認されてきている。
    これは男児を生んだ母親が妊娠期間中の血液交流で持つことになるとか、双子で兄弟に男がいる場合に胎盤を介して血液交流で持つこともあるそうだ。
    双子でなくとも、上に男の兄弟がいる場合にも母親を介してY染色体をもつこともあるという。
    一説にはセックスだけでもY染色体を持つことになる場合もあるとの説も。
    さらには人間を含む生物はウイルスを介して遺伝子を交流させ、お互いに影響を与え合い、一部の遺伝子情報を書き換えているとの指摘もある。
    遺伝子ってよく言えば柔軟性がある、悪く言えば案外安定していないということか。
    生命の成り立ちとは本当に複雑である。
    なんか、DNA検査で真実に迫ろうとすればするほど、真実はもっと複雑で理解の範疇を超えた世界に入っていってしまいそうである。
    もしかしたら、親子関係を疑っても調べない方が幸せなのかもしれない。
    DNA検査をしても100%完璧な証明などはありえないのだから…。

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